事務所便り(毎月発行)

事務所便り11月号です!!

労働者不足への対処法~労働経済動向調査からわかる他社の取り組み

◆約7割の企業が対策を講じている

厚生労働省から、「労働経済動向調査(2019年8月)」の結果が公表されました。同調査は、景気の変動が雇用などに及ぼしている影響や今後の見通しについて調査し、労働経済の変化や問題点を把握することを目的に、四半期ごとに実施しているものです。

今回は、特別調査項目として挙がった「労働者不足の対処方法」について取り上げ、労働者が不足していると回答した企業が、人手不足対策として、どのような取組みを行っているのか、みていきます。

 

◆トップは『正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加』

現在、労働者が不足していて、かつ、過去1年間に何らかの「対処をした」事業所の割合は70%、今後1年間に「対処をする予定」の事業所の割合は66%でした。対処策としては、過去1年間・今後1年間とも『正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加』の割合が最も多く挙がりました(過去1年間:63%、今後1年間:61%)。

ほかには、「臨時、パートタイムの増加」(過去1年間:44%、今後1年間:44%)、『派遣労働者の活用』(過去1年間:40%、今後1年間:36%)、『配置転換・出向者の受入れ』(過去1年間:24%、今後1年間:23%)が続いています。

 

◆賃金アップよりも社員の働きやすさを重視?

賃金以外の在職者の労働条件の改善として、休暇の取得促進、所定労働時間の削減、育児支援や復帰支援の制度の充実などに取り組んでいます(過去1年間:63%、今後1年間:34%)。これら労働条件の改善は、前回調査(2018年8月)と比べると上昇幅が最も大きく(前回:24%、今回:34%)、企業は、社員が働きやすい環境の整備に力を入れているようです。

上昇幅では上記賃金以外の在職者の労働条件の改善がトップでしたが、次いで『在職者の労働条件の改善(賃金)』(前回:29%、今回:33%)が、ほかに『離転職の防止策の強化、又は再雇用制度、定年延長、継続雇用』(前回:34%、今回:38%)なども上昇しています。

 

◆その他の対策は?

『求人条件(賃金、労働時間・休暇、学歴、必要資格・経験等)の緩和』(過去1年間:63%、今後1年間:31%)、『省力化投資による生産性の向上・外注化・下請化等』(過去1年間:63%、今後1年間:31%)も対策として挙がっています。


外国人と日本人の賃金格差が明らかに~パーソル総合研究所調査より 

◆調査の概要

人口減少、労働力不足の一助として、外国人材の活用が進んでいます。また、人材の多様化の推進に取り組む企業が採用を進める人材として、女性活用に続いて、外国人活用をあげているという調査結果(エン・ジャパン調べ)もあります。

今回は、総合人材サービスの株式会社パーソル総合研究所が実施した、「外国人雇用に関する企業の意識・実態調査」結果において注目すべき点を取り上げます。

 

◆調査結果

【外国人と日本人の賃金格差と離職率】

外国人材の職種としては、「専門的・技術的職業」が43.2%と、「販売」(9.8%)や「管理的職種」(9.4%)と比較すると圧倒的に多いことがわかります。

今回の調査で最も注目すべき点として、外国人と日本人の賃金格差が明らかになったことがあげられます。外国人正社員の給与(月収)について、外国人の平均36.6万円に対し、日本人は41.2万円と4.6万円の差があることがわかりました。

また、外国人の離職率については、外国人と日本人の賃金格差が小さいほど離職率も低く、格差が大きいほど離職率が高いこともわかりました。

【外国人雇用の今後の動向】

既に外国人雇用をしている企業では、さらに外国人の雇用を拡大する意向が約7割あり、雇用形態別でみると、正社員雇用している企業で73.7%、パート・アルバイト雇用している企業で67.4%、技能実習生を雇用している企業で71.9%が拡大する意向を示しています。

また、既に外国人雇用をしている企業の41.2%が、人材確保対策の優先順位として「外国人採用・活用強化」を最優先としてあげていて、「中途採用の促進」を押さえて1位となっています。一方、現在は外国人雇用をしておらず、今後検討するとしている企業では、9.2%の企業が最優先としてあげていて、12位の優先順位となっています。

【特定技能の雇用】

2019年4月施行の改正入管法で新しく始まった在留資格「特定技能」について、対象となる14業種に属する企業に尋ねたところ、「検討していない」45.2%、「よく知らない」18.4%と、6割超の企業が消極的で、「検討している」は34%、「既に雇用している」は2.4%にとどまりました。

 

 外国人雇用をめぐっては、送り出し機関や管理団体等関連団体の不正や外国人労働者の自殺・失踪等、ブラックな問題は根深くありますが、企業が適切な雇用対応をすることで、外国人従業員も安心して安全に働け、結果的にタイバーシティの効力につながるのではないでしょうか。

11月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

11

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

 

15

  所得税の予定納税額の減額承認申請書(1031日の現況)の提出[税務署]

 

122

  個人事業税の納付<第2期分>[郵便局または銀行]。

  所得税の予定納税額の納付<第2期分>[郵便局または銀行]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]




事務所便り10月号です!

高齢者の労働災害が増加しています!

改めて考えたい「高齢者が働きやすい職場づくり」

 

◆労災発生件数の4分の1は高齢者

定年延長や、人手不足を背景として、働く高齢者が増えています。現在では、65歳以上の労働者は、労働力人口の12.8%を占めています。

このような状況にあって、働く高齢者の労働災害が問題となってきました。厚生労働省「労働災害発生状況」によれば、2018年に労災に遭った60歳以上の労働者は、前年比10.7%増の3万3,246人で、労災全体の4分の1を占めています。

 

◆高齢者の労災を防ぐためのカギは「転倒防止対策」

60歳以上の労働災害の中でも目立つのは転倒事故で、37.8%を占めます(全世代では転倒による労災事故は25%程度)。転倒防止対策が、高齢者の労働災害減少のカギとなるといえます。

転倒は、段差でつまずいたり、バランスを崩してしまったりすることにより起こります。特に高齢者の場合、下肢の筋肉の衰えが影響して、転倒しやすくなるものと考えられています。また、年齢を重ねるとともに、視力や握力、バランス保持能力といった身体機能は低下しますが、こうした身体機能・認知機能の低下に気がつかず、自分では「できる」と過信して無理な動作をしてしまうことも、転倒の原因となります。

職場内の段差を極力なくす、通路を整頓して通行しやすくするといった対策を講じるとともに、実際の身体機能と本人の認識のズレを正すためのチェックを受けてもらうことも効果的といえるでしょう。

 

◆これからも増え続ける「働く高齢者」のために

政府は現在、「希望する人が70歳まで働ける機会の確保」を努力義務として企業に課す方針を打ち出しています。働く高齢者がますます増えることが想定される中、高齢者が安心して働くことのできる職場づくりが必要となります。

働く高齢者の労働災害を防ぐため、安全確保に取り組む中小企業を対象とした助成制度も新設される見込みです。この機会に、改めて、働く高齢者のための環境整備について考えてみませんか?


事務所便り9月号です!

最低賃金の引上げと活用したい助成金

 

◆最低賃金、全国平均901円に引上げ!!?

厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会で、2019年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ、公表されました(7月31日)。

今年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は27円(昨年度は26円)引き上げた901円となり、最も高い東京都は1,013円(昨年度は985円)、それに次ぐ神奈川県は1,011円(昨年度は983円)と、初めて1,000円を超えることになります。

今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議のうえ答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定、10月以降に改定されます。

引上げ額が過去最大となる予定の今回の改定は、中小零細企業に厳しい状況を強いることになり、さらなる生産性向上が課題となってきます。

そこで今回は、厚生労働省が中小企業に対する支援策として設けている助成金をご紹介します。

 

◆業務改善助成金

本助成金は、生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対して、その設備投資など(POSレジシステム導入よる在庫管理の短縮や、顧客・在庫・帳簿管理システムの導入による業務の効率化など)にかかった経費の一部を助成するというものです。

例:【30円コース】

引き上げる労働者数:1~3人、助成上限額:50万円

助成対象事業場:事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内、および事業場規模30人以下の事業場、助成率:4分の3

平成31年度については、受付が始まっています(申請期限は翌年の131日まで)。

 

◆その他の助成金や支援策等

その他、中小企業事業主の団体やその連合団体が、その傘下の事業主のうち、労働者を雇用する事業主の労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組みを実施した場合に、その事業主団体等に対して助成する時間外労働等改善助成金(団体推進コース)があります。

また、厚生労働省のホームページには、上記助成金を活用し、業務の効率化や働き方の見直しなどを実施して生産性向上を実現し、最低賃金の引上げを行った事例や支援施策紹介マニュアル等が紹介されていますので、参考にしてみるとよいでしょう。

 

 

 

 

女性就業者の活躍と今後の課題

 

◆就業者数における女性の割合は年々増加

2019年6月に総務省が発表した労働力調査によると、日本における就業者数は6,747万人となり、前年同月に比べ60万人増加しました。これは、78カ月連続の増加となります。

そのうち、女性の就業者数は3,003万人と、初めて3,000万人を突破しました。前年同月に比べ53万人増え、就業者全体の伸びの9割近くを女性が占めています。

また、女性就労者は、全体の44.5%を占め、毎年増加を続けています。

 

◆役職・企業規模別の女性の就業状況

 2018年度の雇用均等基本調査(厚労省)によると、正社員・正職員に占める女性の割合は、26.0%で、各職種の割合は、一般職が46.5%と最も高く、次いで総合職33.8%、限定総合職11.9%となっています。

 女性管理職がいる企業割合は、課長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同じ。)がいる企業割合は56.3%(前年比2.2%増)、係長相当職以上の女性管理職がいる企業割合は63.2%(同2.6%増)です。また、係長相当職以上の女性管理職がいる企業割合を役職別にみると、部長相当職ありの企業は10.7%(0.1%増)、課長相当職は19.0%(同1.3%増)、係長相当職は21.7%(同6.8%増)で、役員を除くすべての役職において、2009 年度以降最も高い割合となっています。

企業規模でみると、おおむね規模が大きくなるほど、各役職の女性を有する割合が高くなり、5,000 人以上規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が74.4%、課長相当職の女性管理職を有する企業が93.8%、1,0004,999 人規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が40.2%、課長相当職の女性管理職を有する企業が76.0%と、女性が活躍する環境が整ってきていることがうかがえます。

 また、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は11.8%(前年比0.3%増)で、係長相当職以上の女性管理職割合は13.5%(同0.7%増)で、それぞれの役職に占める女性の割合は、部長相当職では6.7%(同6.6%)、係長相当職では16.7%(同15.2%)と、いずれも前回調査から上昇しています。

 

◆今後の課題

 女性の就業率が上がり、管理職に占める割合も上昇してきているとはいえ、出産や育児で休職や短時間労働が必要になる女性は多く、彼女らが昇進する際、不利になりやすい現状は依然としてあります。また、男性の育児休業取得率も一向に上がらない理由として、「職場に理解がない」を挙げる男性は多いです。

今後、男女問わず、家庭への協力、就業率(労働力)の向上を目指すには、政府の施策だけでなく、職場での意識改革が重要になってくるのではないでしょうか。

 

 

AIアプリで文字起こし業務が素早く簡単に

 

◆AIを利用した身近な業務改善

「AI?うちはアナログだから関係ないよ」という方も少なくないかもしれません。しかし、「棚卸しのとき、長い商品名をパソコンに手入力している」「古い紙資料をデータ化するために手入力している」という状況は、身近に存在するのではないでしょうか。そんなとき、AIを使った無料で使えるアプリを試してみても良いかもしれません。それは、LINEアプリ「文字起こし ばりぐっどくん」(以下、「ばりぐっどくん」)。長崎県西海市の地域商社、株式会社西海クリエイティブカンパニーが開発したもので、AIによる画像処理を利用して、画像から自動で文字起こしができます。具体的には、紙に書かれた文字をスマートフォンのカメラで撮って画像にし、その画像を「ばりぐっどくん」のLINEアカウントに送信します。すると、約3秒でその画像の文字がデータとなって返信されるというものです。

 

◆活用事例

画像から文字起こしができると、何が便利なのでしょうか。例えば、ある薬局では棚卸しの際に、長い薬品名をいちいち手打ちしてリストを作成していました。「ばりぐっどくん」を使えば、画像にして送信するだけで、あっという間にリスト用の文字データが届きます。また、FAXで送られてきた資料をデータ化したいとき、FAX紙面を画像にして送信すれば、文字データにすることができます。このほかにも、紙に書かれた長めのHPアドレスにアクセスしたい、貰った名刺のメールアドレスにすぐ送りたい、客先からの提出物が紙やPDFでデータ入力が大変、というときにも利用できそうです。

 

◆利用の仕方

1 LINEアプリをダウンロードし、「文字起こしばりぐっどくん」を友達追加

2 文字を読み取りたい画像を用意する

3 トーク画面から「文字起こしばりぐっどくん」に画像を送信する

4 「文字起こしばりぐっどくん」からの返事として、画像内の文字データが届く

届いた文字データをコピーすれば、自由に編集できます。

 

◆利用上の留意点

気になるのがセキュリティですが、個人情報保護の観点から画像データは提供会社でも確認できない仕組みになるということです。とはいえ、複数の事業者が提供するサービスとの連携プロジェクトのため、機密情報は利用を避けた方が無難かもしれません。また、利用に際しては情報元の著作権にも十分留意する必要があるでしょう。

 

 

9月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

 

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

 

30

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]


事務所便り8月号です!

令和2年1月~労働社会保険の届出がワンストップで可能に!

◆届出の契機が同じものは1回で

労働社会保険手続のルールが変わります。健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の適用事務に係る事業主の事務負担の軽減および利便性の向上のため、健康保険法等に基づく手続きのうち届出契機が同一のものを一つづりとした届出様式(「統一様式」)を設け、統一様式を用いる場合はワンストップでの届出が可能となります。

現在、令和2年1月1日の施行に向けて省令の整備が進められています。

 

◆改正の内容

次の①~④に掲げる届書については、届出契機がそれぞれ同一であることから、同一の契機で届出を要する届書の届出先を経由して届出できるものとされます。

    健康保険法および厚生年金保険法に基づく「新規適用届」、雇用保険法に基づく「適用事業所設置届」並びに労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づく「労働保険関係成立届」

    健康保険法および厚生年金保険法に基づく「適用事業所廃止届」並びに雇用保険法に基づく「適用事業所全喪届」

    健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格取得届」並びに雇用保険法に基づく「資格取得届」

    健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格喪失届」並びに雇用保険法に基づく「資格喪失届」

 

◆「労働保険関係成立届」に関する改正省令案を諮問

 上記の届出のうち「労働保険関係成立届」に関する改正省令案が去る6月、労働政策審議会に諮問されました。

その内容は、徴収法第4条の2に規定する労働保険関係成立届について、対象事業(※)の事業主が、健康保険法および厚生年金保険法上の「新規適用届」または雇用保険法上の「適用事業所設置届」に併せて提出する場合においては、年金事務所、労働基準監督署または公共職業安定所を経由して提出することができるものとする、というものです。

※本省令改正により、年金事務所、労働基準監督署または公共職業安定所を経由して届け出ることができる事業は、一元適用の継続事業(個別)とされます。

この場合において、事業主が提出する概算保険料申告書についても同様に、年金事務所、労働基準監督署長または公共職業安定所長を経由して提出することができるものとされます。

なお、今回省令案が公表されたのは保険関係成立届のみでしたが、これ以外の適用事業所の設置・廃止の届出、被保険者資格の資格・喪失の届出についても来年1月の施行に向けて順次公表されると思われます。効率化の波に乗り遅れないようにしたいですね。

学生アルバイトがすぐに辞めない職場とは~マイナビ調査から

◆意外に長い?学生アルバイトの勤務期間

人手不足の昨今、せっかく採用したアルバイトがすぐに辞めてしまう、というのは企業にとって痛手です。とくに、学生アルバイトは長続きしない、というイメージを持つ企業担当者も多いのではないでしょうか。そこで、実際はどうなのか、株式会社マイナビが大学生に意識調査を実施しました。「これまでのアルバイトの中で、一番長く続いた勤務期間は?」という問いに対し、「25カ月以上」と答えた人が最も多く、次いで1012カ月、24カ月という回答が続きました。全体の平均としては、20か月でした。さらに、4年生に結果を絞ると、平均30か月になり、大学生活のほとんどの期間で同じアルバイトを続ける人が多いということがわかります。

 

◆重視されるポイントは?

では、学生がアルバイトを探す際に見るポイント、そして長く働き続けたいと思うポイントはどのようなものでしょう。学生が「アルバイトを決める際に重視している点」を尋ねた結果、以下に重点を置いていることがわかりました。

・シフト・時間の融通がきくこと(54%)

・自宅から近いこと(50.9%)

・人間関係がよい職場であること(49.9%)

・時給が高いこと(49%)

もっとも重視する学生が多いのは、シフト・時間の融通のききやすさです。また、職場の雰囲気も重視されています。具体的には、人間関係がよい、楽しく仕事ができる、相談しやすい上司がいるなどです。彼らの希望に柔軟に対応し、働きやすいと感じてもらうことがポイントです。

 

◆職場環境を整えることで生み出される好循環

継続勤務期間の調査結果から、学生アルバイトは、満足した環境であれば継続して働くということがわかりました。そして、彼ら自身は、自分が長期的にアルバイトするために必要な条件をしっかり認識しており、それが満たされる職場を選択しています。採用活動や新人指導には、時間もコストがかかります。アルバイトの募集に反応がない、採用しても定着しないという場合は、彼らが求める職場の条件に合致しないと判断されている可能性があります。学生アルバイトが求めている条件を知り、対応することで、彼らが長く勤められる環境が作れます。また、それをアピールすることで、おのずと人の集まりやすい職場になっていくでしょう。職場環境を整え、人材確保のための好循環を作りましょう。

【マイナビ「大学生のアルバイト実態調査」】https://www.mynavi.jp/news/2019/04/post_19843.html


8月の税務と労務の手続き提出期限

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

 

31

  個人事業税の納付<第1期分>[郵便局または銀行]

  個人の道府県民税・市町村民税の納付<第2期分>[郵便局または銀行]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出

[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]

 

※提出・納付期限が、土曜・日曜・祭日と重なる場合は、翌日になります!



事務所便り7月号です

男性の育児休業取得率とパワハラ!

◆育児休業取得率、女性は高水準・男性は低調

厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」により、最新の育児休業取得率(調査対象事業所における、出産者(男性の場合は配偶者が出産者)のうち育児休業を開始した者の割合)が判明しました。

女性の取得率は82.2%で、10年以上高水準で安定しています。その一方、男性の取得率は6.16%ということで、6年連続で上昇してはいますが、依然としてきわめて低調です。

 

◆男性の育児休業を促進する動き

そのような中、6月5日、自民党の有志議員が「男性の育児休業義務化」を目指す議員連盟の設立総会を開きました。議連は、本人からの申請がなくても、企業から「育児休業を取らないのか」と促すことを義務付ける仕組みの制度化を目指すとし、育介法の改正などを視野に活動するとしています。

 

◆パタハラ疑惑で炎上する企業

おりしも、大手化学メーカーにおいて、パタニティ・ハラスメント(男性の育休取得者への嫌がらせ)疑惑が取りざたされています。報道等によれば、ある男性社員が約1カ月弱の育児休業休職を取得したところ、職場復帰した翌日に転勤を命じられ、その後の転勤時期をずらす交渉等もまとまらず、退職を余儀なくされたといいます。男性の妻が、社名をほのめかした発信をTwitter上で行い、またたく間に社会問題化してしまいました。

同社は「くるみん」(厚生労働省による子育て支援に積極的な企業への認定マーク)を取得していたため、前述の議連からも「くるみんを取得していても、あのような事例があったのは残念」と名指しでコメントされる等、望ましくない事態となっています。

 

 ◆違法性がなければよい、とは限らない

法律上、使用者は「労働者の子の養育(略)の状況に配慮しなければならない」(育介法26条)とされていますし、必要性のない配置転換であれば「権利の濫用」(労契法3条5項)とみなされる恐れもあります。また、違法性がないとしても、ハラスメント行為と世間からみなされることとなれば、上記化学メーカーのように大きなイメージダウンとなり、企業活動にも支障をきたすことでしょう。

法律の正しい理解と、マタハラ・パタハラを生まない職場づくりが大切です。

 【厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html


マイナンバーカードの普及・利活用の促進と企業実績への影響 

◆政府の方針

6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議で、「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」が公表されました。その柱は下記の4点です。

1.自治体ポイントの活用(令和2年度;消費活性化策)

2.マイナンバーカードの健康保険証利用(令和3年3月から)

3.マイナンバーカードの円滑な取得・更新の推進等

4.マイナンバーカードの利便性、保有メリットの向上、利活用シーンの拡大

このうち企業の実務に影響があるのは、2の健康保険証利用です。

 

◆健康保険証への利用実現へ向けて

マイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、①医療の質の向上、②被保険者の利便性の向上が期待されますが、環境整備も必要です。医療機関側でマイナンバーカード利用のための端末、システムを整備するための支援が検討課題です。

保険者からも円滑な移行を促すため、保険者から事業主、加入者等へのマイナンバーカード取得要請とそのフォローアップを行うとともに、保険者による被保険者のマイナンバーカードの初回登録の促進を図るとされています。

 

◆企業の総務事務の効率化を促進するための方策

マイナンバーカードの健康保険証利用は、企業の健康保険に係る事務のコスト縮減につながることが期待されます。さらに、マイナンバーカードの民間活用等を通じて社員の健康管理への活用等が促進されるよう、モデル事業等を行うとされています。

また、マイナンバーカードの社員証等の各種証明としての活用が促進されるよう、利用手続の簡素化等を実施するとともに、令和2年11月頃より、企業が行う従業員の社会保険・税手続のワンストップ化を開始できるよう取組みを推進します。

あわせて、令和2年4月より、情報システムに係る調達等において、マイナンバーカードの普及実績等を評価する仕組みを導入します。

 

◆社会保険・税手続きのワンストップ化の流れ

 政府の報告によれば、従業員の採用、退職等のライフイベントに伴う社会保険・税手続きについては、①令和2年11月からマーナポータルを通じたオンライン・ワンストップ化を開始し、②令和3年度後半から、企業が保有する情報のクラウドを活用した提出の実現を目指すとされています。マイナンバーカードの普及はそれに向けての重要な役割を担っており、情報漏洩のない安全な運用が期待されます。 

 

 7月の税務と労務の手続き提出期限

10

  健保・厚年の報酬月額算定基礎届の提出期限[年金事務所または健保組合]<7月1日現在>

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  特例による源泉徴収税額の納付<1月~6月分>[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出[公共職業安定所]<前月以降に採用した労働者がいる場合>

  労働保険の今年度の概算保険料の申告と昨年度分の確定保険料の申告書の提出期限<年度更新>[労働基準監督署]

  労働保険料の納付<延納第1期分>[郵便局または銀行]

 

16

  所得税予定納税額の減額承認申請<6月30日の現況>の提出[税務署]

  障害者・高齢者雇用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  

31

  所得税予定納税額の納付<第1期分>[郵便局または銀行]

  労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所] 

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

  固定資産税・都市計画税の納付<第2期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある

事務所便り6月号です

「有給休暇の取得義務化」企業の反応は?~エン・ジャパン調査


 4月1日から、10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対して「年5日の有給休暇の取得義務化」が始まりました。

エン・ジャパン株式会社は、同社の人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」上で、2月から3月にかけて、「有給休暇の取得義務化」についてアンケート調査を行いました。その概要は以下のとおりです。

 

◆有給休暇の取得義務化の認知度は9割以上。4社に1社が義務化に否定的

有給休暇の取得義務化の認知度を伺うと、96%が「知っている」(内容も含めて知っている:63%、概要を知っている:33%)と回答しました。

有給休暇の取得義務化についての印象を伺うと、「良いと思う」が73%(非常に良いと思う:23%、まあ良いと思う:50%)、「良くないと思う」が26%(あまり良いと思わない:21%、良くないと思う:5%)と、4社に1社が否定的に感じていることがわかりました。

 

◆7割が「有給休暇の取得を促進している」と回答。業種は「金融」「商社」「IT」。一方、促進していないのは「広告」「流通」「不動産」。

「現在、有給取得を促進していますか?」と伺うと、「促進している」が70%でした。

取得を促進している業種トップ3は「金融・コンサル関連」(100%)、「商社」(79%)、「IT・情報処理・インターネット関連」(77%)でした

。一方、取得を促進していないのは「広告・出版・マスコミ関連」(36%)、「流通・小売関連」(34%)、「不動産・建設関連」(27%)でした。

また、企業規模別では他に比べ、「100299名」(28%)が目立ちました。

有給取得を促進する理由を伺うと、「社員の満足度向上のため」(67%)が最多。「有給取得の義務化の法に準拠するため」(42%)は第3位でした。

 

◆有給休暇の取得義務化への課題は、「人手不足」「業務の偏り」

有給の取得義務化にあたり、難しい点や課題を伺うと、「人員不足」(65%)、「業務量が人に偏っている」(60%)が多く回答されました。

人手不足や業務過多の状況にある企業は、義務化への対応を不安視しているようです。

また「有給休暇の取得義務化に、どう対応しますか?」と伺うと、多くが「有給休暇の計画的取得」(83%)、「有給休暇取得のための周知・啓発」(81%)と回答しました。

 

会社によっては人員に余裕がなく、もともと有給休暇を取りづらい場合があるでしょう。

今回の有給休暇の取得義務化は画期的ですが、そのためにサービス残業や仕事の持ち帰りが増えては意味がありません。

会社ごとに業務の見直しを行ったり、各人が労働生産性を意識した行動をとったりすることが大事ではないでしょうか。

【エン・ジャパン「有給休暇の取得義務化」実態調査】

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/17179.html

 

外国人労働者が感じた「働きにくさ」の理由~マイナビ「在日外国人へのアルバイト意識調査」

在日外国人の日本におけるアルバイトに対する意識を明らかにすることを目的とした調査が行われています(「在日外国人へのアルバイト意識調査」株式会社マイナビ)。

今後、これまで以上に外国人労働者の増加が見込まれるなかで、外国人労働者はどのようなことに不安や大変さを感じているのかなどの実態を知ることは、企業にとっても押さえておくべきことと思われます。

以下、調査結果を見ていきます。

 

◆アルバイトを探す際に大変だと思うことは

「外国人が勤務可能な求人が少ない、又は限られている」が最も高く(40.1%)、次いで「日本語での履歴書等、書類の準備」(27.9%)、「求められる日本語レベルが高すぎる(日本人と同等など)」(26.5%)、「就労に必要なビザ取得などの手続き」(23.1%)、「求人情報が日本語でわかりづらい」(20.4%)、「面接時のマナー(5分前行動や、服装等)」(20.1%)、「労働条件が分かりづらい」(14.3%)、「アルバイトの探し方が分からない」(4.8%)などの声が上がっています。

 アルバイト探しに利用するものとしては、「インターネットの求人サイト」が最も高く(79.6%)、次いで、「知人からの紹介」(40.8%)、「求人アプリ」(37.8%)となっています。

 

◆日本で働く際の不安要素は?

「自分の日本語能力」(56.1%)が最も高く、次いで「職場の人間関係」(40.8%)、「外国人だからという理由で不当な待遇や扱いをされないか」(40.1%)、「仕事は難しくないか」(32.3%)、「文化や生活習慣の違いを互いに受入れることが出来るか」(31.0%)となっています。上位3つについては、「実際に働き始めて不安が的中したこと」と同じ結果となっています。

 

◆働きやすさの理由と働きにくさの理由

働きやすさの理由としては、「希望通りの勤務時間で働ける」(31.5%)、「立地が便利である」(29.7%)、「仕事が楽しい」(29.2%)、「仕事がらく」(28.8%)、「職場の人間関係が良い」(26.9%)、「職場の設備環境が良い、清潔である」(26.9%)、「時給(日給)に満足している」(26.5%)となっています。

一方、働きにくさの理由としては、「仕事内容が過酷」(36.0%)、「職場の人間関係が悪い」(26.7%)、「時給(日給)に満足していない」(20.0%)、「異文化への理解がない」(20.0%)、「希望より勤務時間が増やされる」(18.7%)、「外国人向けの教育、研修をしてくれない」(17.3%)が続いています。他にも、「日本人以外の人が非常に少ない」(13.3%)、「日本語を学ぶ環境がない」(12.0%)がありました。

アルバイトをしていてストレスを感じるときについて、「職場の人とコミュニケーションがうまくとれないとき」「外国人に対する偏見を感じたとき」(いずれも29.6%で最も高い)を挙げています。

【マイナビ「在日外国人へのアルバイト意識調査」】

https://nalevi.mynavi.jp/download/5943/

 

中途採用者の定着率は?

~エン・ジャパン調査


◆人手不足の状況が続く中……

人手不足の状況が続く中、求人募集しても、「良い人からの応募がない」、「そもそも応募が全然来ない」という企業も多いようです。

一方で、たとえ良い人材を採用できたとしても、離職率が高ければ、なかなか企業の人手不足の問題は改善されません。

その中でも、中途採用者については、企業に定着してもらうまでに一定程度の時間や労力もかかりますので、その定着率については気になるところです。

 

◆約4割が「中途入社者の定着率が低い」と回答

エン・ジャパン株式会社が運営する人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』上で、直近3年間で中途入社者(正社員)がいる企業を対象に実施した「中途入社者の定着」についてのアンケート調査(回答:693社)によると、約4割が「中途入社者の定着率が低い」と回答しているそうです。業種別に見ると「流通・小売関連」(51%)、企業規模別では「1,000名以上」(48%)がそれぞれ最も高い割合となっています。

なお、同調査では、中途入社者が退職に繋がりやすい期間を聞いていますが、37%が「1カ月未満~6カ月」と回答しているそうです。3社に1社の割合で、入社者が早期に退職の選択をしていることがわかります。

 

◆定着率向上に寄与する企業の取組み

同調査では、企業が中途入社者の定着率向上のために行っている取組みとしては、「定期で行う上司との面談」(53%)、「歓迎会での交流」(50%)との2つの回答が、特に多くなっています。取組みによる定着率の寄与度に関する調査では、定着率に好影響だったものとして「定期で行う人事との面談」、「定期で行う上司との面談」が挙がっています。また、実際に実施している企業は1割と少なかったものの、効果があるものとして、「メンター・ブラザー・シスター制度によるフォロー」が挙がっています。ちなみに、注目すべきところとして、定着率向上のための取組みとして「中途入社者コミュニティへの参加」、「社内見学」はむしろマイナスの影響につながるという結果が出ています。

 

◆定着率向上のための企業も取組み

人手不足の中、何の検討もなしに「何となく」採用活動をして、人を採るということは、社員の離職率の面からはリスクがあります。また、会社側が良かれと思って取り組んでいた定着率向上のための取組みも、実際には効果がないどころか、上記の結果のように、むしろ退職者を増やしている可能性もあります。

実際に効果のある取組みは何なのか、実際の効果を検討しながら、企業としても取り組んでいくべきでしょう。

【エン・ジャパン「人事のミカタ」~中途入社者の定着について】

https://partners.en-japan.com/enquetereport/144

 

6月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

3

  労働保険の年度更新手続の開始<710日まで>[労働基準監督署]

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

  特例による住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

71

  個人の道府県民税・市町村民税の納付<第1期分>[郵便局または銀行]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所] 

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

雇入時及び毎年一回

  健康診断個人票[事業場]


事務所便り5月号です!!

雇用関係助成金の不正受給対策が強化されました!!

4月1日から改正雇用保険法施行規則が施行されました。

今年も例年どおりいくつかの助成金の統廃合が行われていますが、それに加えて不正受給対策の強化が盛り込まれました。内容は以下のとおりです(通達「雇用安定事業の実施等について(平成31年3月29日職発0329第2号・雇均発0329第6号・開発0329第開発032958号)」から抜粋)。

 

◆不支給期間の延長および対象の拡大

(1) 現在、過去3年以内に偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとした事業主または事業主団体もしくはその連合団体に対して雇用関係助成金を支給しないこととしているものを、過去5年以内とする。

(2) 過去5年以内に偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとした事業主または事業主団体もしくはその連合団体の役員等(偽りその他不正の行為に関与した者に限る)が、事業主または事業主団体もしくはその連合団体の役員等である場合は、当該事業主または事業主団体もしくはその連合団体に対しては、雇用関係助成金を支給しない。

(3) 過去5年以内に雇用調整助成金等の支給に関する手続きを代理して行う者(代理人等)または訓練を行った機関(訓練機関)が偽りの届出、報告、証明等を行い事業主または事業主団体もしくはその連合団体が雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとしたことがあり、当該代理人等または訓練機関が雇用関係助成金に関与している場合は、当該雇用関係助成金は、事業主または事業主団体もしくはその連合団体に対しては、支給しない。

 

◆返還命令等

(1) 偽りその他不正の行為により雇用調整助成金等の支給を受けた事業主または事業主団体もしくはその連合団体がある場合には、都道府県労働局長は、その者に対して、支給した雇用調整助成金等の全部または一部を返還することを命ずることができ、また、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた雇用関係助成金については、当該返還を命ずる額の2割に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

(2) (1)の場合において、代理人等または訓練機関が偽りの届出、報告、証明等をしたため雇用関係助成金が支給されたものであるときは、都道府県労働局長は、その代理人等または訓練機関に対し、その支給を受けた者と連帯して、雇用関係助成金の返還または納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。

 

◆事業主名等の公表

都道府県労働局長は、事業主または事業主団体もしくはその連合団体が偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとした場合等は、氏名並びに事業所の名称および所在地等を公表することができる。

今後は、より遵法意識に則った対応が必要となりそうです。

 

平成31年度の地方労働行政運営方針の重点施策

「平成31年度地方労働行政運営方針」が厚生労働省で策定され、4月1日に公表されました。各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえつつ、各局の管内事情に即した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしていますので、本方針を確認することで、今後の労働行政のあり方が見えてきます。以下、その中でも重点施策として挙がっている項目を取り上げます。

 

◆重点施策1:働き方改革による労働環境の整備、生産性向上の推進等

働き方改革に取り組む中小企業・小規模事業者等に対する支援等、長時間労働の是正を始めとする労働者が健康で安全に働くことができる職場環境の整備等、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、総合的なハラスメント対策の推進、柔軟な働き方がしやすい環境整備等、治療と仕事の両立支援、生産性の向上等に向けた各種取組等を実施するとしています。具体的には、助成金の創設や、長時間労働の是正、改正労基法等の施行への対応、長時間労働の是正および過重労働による健康障害防止の徹底、労働条件の確保・改善対策(賃金不払い残業の防止、ブラック企業等への取組み、外国人労働者や技能実習制等の労働条件確保対策の推進、労災かくしの排除に係る対策)、年次有給休暇の取得促進や勤務間インターバル制度の導入促進などです。

 

◆重点施策2:人材確保支援や多様な人材の活躍促進、人材投資の強化

職業紹介業務の充実強化による効果的なマッチングを推進し、人材不足分野などにおける人材確保と雇用管理改善等を推進し、また、女性、障害者、高年齢者、若者、生活困窮者等の活躍促進、職業生活と家庭生活の両立支援、外国人材の受入れの環境整備等に向けた各種取組みを実施するとしています。具体的には、母子家庭の母等の雇用対策の推進等、男性の育休取得促進、多様な障害特性に対応した就労支援の強化等、高齢者のマッチングによるキャリアチェンジの促進等、特定技能外国人を始めとする外国人労働者の適切な雇用管理の確保等などです。

 

◆労働保険適用徴収担当部署の重点施策

労働保険の未手続事業一掃対策を推進し、さらに、労働保険料等の適正徴収等を実施するとしています。

 

◆毎月勤労統計調査に係る雇用保険、労災保険等の追加給付

毎月勤労統計調査に係る雇用保険、労災保険、船員保険および雇用調整助成金等の事業者向け助成金の追加給付について着実に実施するとしています(一部支払いが始まっています)。

その他、東日本大震災からの復興支援(雇用機会創出支援等)が重点項目として挙がっています。

【「平成31年度地方労働行政運営方針」の策定について~厚生労働省】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04277.html

 

就活生の「ブラック企業」「ホワイト企業」への意識~DISCO調査

◆調査の概要

 人手不足による売り手市場が続くなか、各企業はあの手この手を使った「人材確保」対策に苦心しています。そうした背景のもと、株式会社DISCOが、今年入社を迎えた卒業生(2019年卒、以下「19年卒」)と、就職活動を始めたばかりの学生(2020年卒、以下「20年卒」)それぞれに、「ブラック企業」と「ホワイト企業」についての意識調査を行いました(調査期間:2019年2月8日~14日)。

19年卒の回答者数:750人(文系男子221人、文系女子220人、理系男子200人、理系女子109人)、サンプリング:キャリタス就活2019学生モニター

20年卒の回答者数:750人(文系男子285人、文系女子192人、理系男子193人、理系女子80人)、サンプリング:キャリタス就活2019学生モニター

 

◆「ブラック企業」と「ホワイト企業」への意識

調査結果として、まず「ブラック企業を気にした(している)」という学生は、19年卒85.6%、20年卒91.1%と9割近いのに対し、「ホワイト企業を気にした(している)」という学生はそれぞれ半数程度となっています。

 「ブラック企業」だと思う条件としては、「残業代が支払われない」が最多の8割(19年卒77.9%、20年卒78.0%)、次いで「給与が低すぎる」が約7割(19年卒70.9%、20年卒70.1%)で、「労働条件が過酷である」、「残業が多い」、「セクハラ、パワハラがある」、「有給休暇を取りづらい風土がある」等、それぞれ6割以上に上ります。

また、ホワイト企業を気にする就活生は半数程度でしたが、「ホワイト企業かどうか」を調べた学生は、19年卒は56.0%、20年卒は61.3%で、「ホワイト企業だと思う条件」として、「有給休暇を取りやすい風土がある」が最多で、「福利厚生が充実している」、「離職率が低い」、「残業が少ない」、「残業代が満額支払われる」と続きます。

 

◆「ブラック企業」の調べ方と入社後の対応

就職活動で「ブラック企業かどうか」を調べた(調べている)学生は、19年卒82.1%、20年卒79.7%に上ります。調べ方で最も多かったのがそれぞれ、「クチコミサイト」約9割で、次いで「就職情報サイトで企業情報(募集要項等)を確認」が約5割でした。

また、入社後に「ブラック企業」だとわかった場合、「すぐに辞める」はそれぞれ1割程度ですが、「1年は様子をみる」はそれぞれ4人に1人、「半年以内に見切りをつける」という回答はそれぞれ過半数に達しています。

 一方で、ブラック企業でも働き続けられる条件として、「給与・報酬が高いなら」がそれぞれ約7割、「職場の人間関係が良いなら」がそれぞれ約6割を占めています。

以上のことから、最近の就活生の企業選びのポイントは、「ブラック企業」を強く意識し、「働きやすさ」を求める傾向にあることがわかります。

【「就活生に聞いた「ブラック企業/ホワイト企業」への考え」~株式会社ディスコ】

https://www.disc.co.jp/press_release/6831/

 

5月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

15

  特別農業所得者の承認申請[税務署]

31

  軽自動車税の納付[市区町村]

  自動車税の納付[都道府県]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

  [公共職業安定所]

  確定申告税額の延納届出額の納付[税務署]。



事務所便り4月号です!

長時間労働につながる商慣行の実態~中小企業庁調査から

中小企業庁が、「繁忙期対応」や「短納期対応」における長時間労働につながる商慣行についての実態調査を行い、その結果を公表しました。

調査は昨年12月3日~13日に7,642社の中小企業に対してWebによるアンケートで行われ、2,537社から回答を得てまとめられたものです。

公表された結果の概要は以下の通りです。

 

◆繁忙期、短納期受注の発生状況

・繁忙期は約7割の企業で発生し、特に建設業、食料品製造業、紙・紙加工品産業、印刷産業、トラック運送業・倉庫業では8割超の企業で発生している。

・短納期受注は6割の企業で発生(直近1年間)し、特に紙・紙加工品産業、印刷産業、半導体・

半導体製造装置産業、電気・情報通信機器産業では8割超の企業で発生している。

・繁忙期/短納期受注の主要取引先として最も回答が多い業種は、大半の業種で同業種であるとの回答が多い。一方、食料品製造業、紙・紙加工品産業、素形材産業、技術サービス産業、卸売業では、他業種が主要取引先として最も回答が多い。

 

◆繁忙期、短納期受注の発生要因

・繁忙期の発生理由は、約5割の企業が「季節的な要因」と回答。短納期受注については、約8割の企業が「取引先からの要望」と回答している。

・繁忙期/短納期受注の発生要因について、取引上の問題としての課題を整理すると、「年末・年度末集中」や、「納期のしわ寄せ」、「多頻度配送・在庫負担・即日納入」といった問題のある

受発注方法と、そうした「問題のある受発注方法が常態化」していることが、取引上の課題として挙げられている。

 

◆残業時間への影響

・繁忙期対応によって8割、短納期受注によって6割の企業が、従業員の平均残業時間が「増加する」と回答している。

 

繁忙期の発生要因として、「小売業の品切れ=メーカーの責任という考え方が強く、即時対応が常態化している」「親会社の働き方改革により年末年始に発注が集中」といった納期の集中や、「調剤薬局に一日多数回の配送を求められる」など、事業主の生の声や、業種・地域別の詳細なデータも公表されています。残業時間の削減など、働き方改革の実現に向けた改善策を検討するための参考にもなりそうです。

【参考】中小企業庁「長時間労働に繋がる商慣行に関

するWEB調査結果概要」(PDF)

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2019/190304shoukanshu_chousa1.pdf

 

深刻化する「引っ越し難民」への対策は?

◆「引っ越し難民」とは?

毎年3月から4月は、異動による転勤や進学、就職などにより引っ越しの依頼が集中し、引っ越し業者は繁忙期に入ります。近年、業界全体のトラック運転者の人手不足や働き方改革への取組みによる受入れ件数の抑制などの影響により、「引っ越し業者が見つからない」「希望する日程で引っ越しができない」といった「引っ越し難民」が相次ぎ、問題が深刻化しています。

 

◆国や業界団体が呼掛け

国土交通省と業界団体は、「引っ越し難民」発生防止策として、大手引っ越し会社の今春の予約状況を公表し、引っ越し時期の分散(「2月または4月中旬以降」に検討)を呼び掛けました。その結果、昨年よりも2月から3月上旬の予約件数が増えたことが明らかになりました。

 

◆企業側の対応策

国土交通省は、4月に異動をする職員を対象に業務の支障のない範囲で、4月8日以降に勤務開始日を後ろに

ずらすことを認める方針を示しました。企業側の対応策としても、引っ越し業者の繁忙期は他の時期に比べ料金が高くなることが多いことから、異動による転勤の時期をずらして引っ越しにかかる費用を抑える動きが出てきているようです。

 

◆ドライバー不足が深刻

国土交通省によると、トラックドライバーの有効求人倍率は3.03倍(2019年1月時点)と、人手不足は深刻な状況です。引っ越し業界では、繁忙期のドライバーや作業員の確保が難しくなっています。

企業で転勤に伴う引っ越しを要する従業員がいる場合は、早めにスケジュールを立てることや繁忙期を避けることを検討してみてはいかがでしょうか?


約半数の企業が副業を許可

~パーソナル総合研究所の調査から

 

◆調査の概要

副業を解禁するべきかの判断材料になる情報や、副業のメリットを享受したい企業がとるべきアクションを明らかにするため、総合人材サービス、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームである株式会社パーソル総合研究所は、インターネット調査を通じて、副業に対する企業と個人の意識調査の結果を公表しました。

今回は、その調査結果から注目すべき内容を取り上げてまとめます。

 

◆調査結果

・副業の許可と禁止割合

10人以上の従業員が勤務する企業の人事担当者(1,641人)の回答によると、「全面的に許可している」が13.9%、「禁止していない(希望者がいれば条件付で許可)」が36.1%、「全面的に禁止している」が50%という結果になっています。

副業許可企業

・副業許可の開始時期

副業許可企業に、許可を開始した時期を尋ねると、「1年以内」が22.8%、「2~3年前」が29.2%、「4~6年前」が22.8%と、働き方改革が叫ばれるようになったこの3年以内に許可を開始した企業が半数以上に上っていることがわかります。

・副業許可の効果

副業許可の効果を尋ねると、「従業員の社外人脈の拡大」52.2%、「モチベーションの向上」50.3%、「スキル向上」49.7%と、メリットを実感している割合が高く、一方で効果を感じていないとの回答は18%未満と少ないことがわかりました。

副業禁止企業

・企業規模別

副業禁止割合を企業規模別に見ると、10100人未満の企業は43%台、100500人未満企業で50%前後、1,0001万人未満企業は60%近くあります。

・設立年数別

10年未満企業の副業禁止割合は36.3%と最も少なく、50年以上企業は62.1%と最も高く、歴史のある企業ほど「全面的に禁止」の割合が高くなっていることがわかります。

・禁止理由

副業禁止の理由を尋ねると、「従業員の過重労働につながるから」が49.2%と最も多く、「自社の業務に専念してもらいたいから」が47%、「疲労による業務効率の低下が懸念されるから」43.6%となっています。

副業禁止が何となく染みついている時代ですが、この調査によると、半数が副業を認めている(条件付許可も含む)実態がわかります。しかも、全面的に副業を許可している企業のほうが、社員のスキル向上やモチベーションのアップといったプラスの効果を感じているという結果も出ています。今後は、コンプライアンスやリスク回避もしっかり踏まえて、今後ますます広がる“多様な働き方”に対応していく必要があるでしょう。

【参考】パーソル総合研究所「副業の実態・意識調査」

https://rc.persol-group.co.jp/news/201902150001.html

 



 

4月の税務と労務の手続期限[提出先・納付先]

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

15

  給与支払報告に係る給与所得者異動届出書の提出[市区町村]

430

  預金管理状況報告の提出[労働基準監督署]

  労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、1月~3月分>[労働基準監督署]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]

  公益法人等の法人住民税均等割の申告納付[都道府県・市町村]

  固定資産税・都市計画税の納付<第1期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある。

※提出・納付期限が、土曜・日曜・祭日と重なる場合は、翌日になります。



事務所便り3月号です!!


 

人手不足問題への対応、どうしますか?

 

◆人材不足を実感している企業が9割


企業の「人手不足」の問題については、しばしば新聞やテレビでも報道されるところですが、自社の状況はいかがでしょうか?

エン・ジャパン株式会社が実施した2019年の「人材不足の状況」についてのアンケート調査(762社から回答)によると、「人材が不足している部門がある」と回答した企業が9割という結果だったそうです。これは、2016年の調査に比べ、5ポイント上昇した数字となっており、3年前よりも人材不足感が増していることが伺えます。


◆人手不足への対応策は?


では、人手不足を実感している会社では、どのような対策を講じているのでしょうか。

同調査では、人材不足の状況への対応策についても聞いており、86%が「新規人材の採用(欠員の補充)」と答

えています。次いで「既存の業務を効率化する(ICT化、標準化等)(35%)、既存社員の教育、能力向上(30%)、社員のモチベーション向上のため、処遇見直し(18%)と続いています。

調査結果でも、「新規人材の採用」を解決策として挙げた会社が多かったようですが、最近は、「高齢者雇用」「外国人雇用」「仕事を離れてからブランクのある女性の雇用」など、これまで採用市場に多くなかった人材の積極採用に目を向ける企業も増えているようです。


◆「新規人材の採用」以外の解決策も


また、今後避けられないであろう人口減少、労働力人口減少の流れの中では、「今いる人材が離職しないこと」「業務の効率化」は、どうしても検討しなければならないテーマとなっています。

社員の納得感を増すために処遇制度を見直したり、職場環境を改善するため社内コミュニケーションを活性化させたりするなど、すでに

人材確保のための積極的な取組みを始めている企業も少なくありません。


◆人材確保のために今から対策を


人手不足の問題は、今後企業ごとに工夫を凝らして解決していかなければならないテーマとなっています。人材獲得競争の波に乗り遅れないように、今から検討していく必要があるでしょう。


人事・労務に関するトップマネジメントの意識

 

◆調査の概要

日本経済団体連合会(経団連)は、会員企業および東京経営者協会の主要会員企業の労務担当役員等を対象に、春季労使交渉・協議や人事・労務に関するトップ・マネジメントの意識・意見などを調査しています。今回は2018年の調査結果のうち、注目すべき結果を取り上げてまとめます。

 

◆賃金関係

月例賃金について、労働組合等の要求とは関係なく、自社の施策として実施を決定した内容として、「定期昇給の実施、賃金体系の維持」(64.9%)と「初任給の引上げ」(46.5%)が目立ちます。また、賞与・一時金においても、前年度より増額した企業は54.6%あり、前年度の水準を維持した企業も32.0%と、増額・維持する企業が約87%にのぼっています。

 

◆労働生産性と人材育成の取組み

新たなビジネスやイノベーションの創出に向けた具体的な取組みとして、現在注力しているものに、「挑戦する社内風土醸成」(54.5%)、「組織や業務体制の見直し」(47.8%)、「中途採用など外部人材の積極的な採用と活躍推進」(42.4%)、「社員の知識・スキル向上のための教育・研修」(40.5%)があげられています。そして今後(5年程度)注力したい項目としては、「成長分野・重点分野への戦略的な人事異動」(47.4%)が最も多い結果になりました。

 

◆高齢社員の活躍推進

高齢社員を雇用する目的として最も多かったのが、「知識や経験等を活かした専門能力の発揮」(45.4%)で、「労働力・人材の確保」(28.9%)、「後進の指導・育成、技術・技能の伝承」(23.4%)と続きます。高齢社員のモチベーション維持・向上のために既に実施している施策としては、「人事評価制度」(56.4%)と「勤務時間・日数などの柔軟な勤務制度」(55.5%)が最も多く、検討している施策としては、「基本給水準の引上げ」(39.4%)と「定年年齢の引上げ」(37.4%)が上位を占めています。

 

◆副業・兼業の取扱い

副業・兼業の実態として、「現在認めている」企業が21.9%あるのに対し、「認めていない」企業は78.1%と圧倒的に多い結果となっています。後者のうち、今後も認めるつもりはない企業は43.5%にのぼります。副業・兼業を認めている理由として、「社員のモチベーション向上」(37.7%)、「自社では提供できない仕事経験による能力向上やアイデアの創出」(34.9%)があげられています。一方で、認めていない理由としては、「社員の総労働時間が把握できない」(64.6%)、「社員の健康確保が図れない」(54.5%)、「疲労の蓄積によって社員の業務効率が低下する」(44.9%)が多くあげられています。

 

 

厚労省が裁量労働制の運用の不適切企業を公表!!

 

厚生労働省が、裁量労働制の厳格な運用を促すため、複数の事業場を有する企業で裁量労働制の不適正な運用が認められた場合には、労働局長が直接指導を行った上で企業名を公表するという通達を出しました。

政府が昨年12月に閣議決定した「労働施策基本方針」では、労働関係法令遵守への主体的取組みを企業へ促すため、重大な法違反事案について指導結果を公表するなどの手続きをより明確化することとしていました。今回の決定はこの方針に沿ったもので、手続きの流れは以下のようになっています。

 

◆裁量労働制の運用実態の確認のための監督指導

複数の事業場を有する社会的に影響力の大きい企業に対する監督指導において、下記アないしウの実態が認められた場合、当該企業の本社および支社等に対する全社的な監督指導を実施し、裁量労働制の運用状況を確認する。なお、支社等については、主要な支社等であって、企業規模および事案の悪質性等を勘案し、全社的な是正・改善状況を確認するために必要な範囲で決定される。

ア 裁量労働制の対象労働者の概ね3分の2以上について、対象業務に該当しない業務に従事していること。

イ 上記アに該当する労働者の概ね半数以上について、労働基準法第3240条(労働時間)、35条(休日労働)又は37条(割増賃金)の違反が認められること。

ウ 上記イに該当する労働者の1人以上について、1カ月当たり100時間以上の時間外・休日労働が認められること。

 

◆局長による企業の経営トップに対する指導および企業名の公表

(1) 本社管轄の局長による指導

上記の監督指導において、不適正な運用実態が組織的に複数の事業場で認められる場合で、当該企業が裁量労働制を相当数の労働者に適用しているときは、当該企業の代表取締役等経営トップを本社管轄の労働局へ呼び出した上で、局長より早期に法違反の是正に向けた全社的な取組みを実施することを求める指導書を交付することにより指導する。

(2) 企業名の公表。

上記(1)の指導を実施した際に、以下について公表する。

ア 企業名

イ 裁量労働制の不適正な運用、それに伴う労働時間関係違反等の実態

ウ 局長から指導書を交付したこと

エ 当該企業の早期是正に向けた取組方針

 今回の決定は一定規模以上の企業を対象としたものですが、働き方改革法の施行も迫るなか、事業規模にかかわらず、適正な運用をしていくことが求められます

【参考】厚生労働省「裁量労働制に係る指導・公表制度について」(PDF)

https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000473546.pdf




事務所便り2月号です!

「勤務間インターバル制度」普及率10%目標へ ~ 厚生労働省

 

◆「働き方改革実行計画」に基づき検討!

厚生労働省は先月21日、「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」の報告書を公表しました。この検討会は、平成29年5月から平成3012月までに5回にわたり開催され、勤務間インターバル制度の導入メリットや課題、普及に向けた取組みなどについて検討されてきたものです。

 

◆導入の意義と導入に向けた課題・プロセス・事例を紹介

報告書ではポイントとして、①「勤務間インターバル制度」は、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るために重要な制度であること、②制度の普及に向けた課題として、制度の認知度が低いことや中小企業等が導入する際の手順が分からないことが挙げられること、③普及促進に向けて、検討会報告書の別添の「勤務間インターバル制度導入に向けたポイント」や導入事例集の周知、助成金による支援を進めていくことが重要であること――を示し、以下のような点についてまとめています。

《導入によるメリット》

①健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる

②生活時間の確保によりワークライフバランスの実現に資する

③魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながる

④企業の利益率や生産性を高める可能性が考えられる

《普及に向けた課題》

①制度の認知度が低い  ②制度導入の手順がわからない

③就業規則の整備等に係る経費負担  ④突発的な業務が発生した際の代替要員の確保

《普及に向けた取組み》

①導入事例集を活用し、行政機関、地域の関係団体等と連携して制度の周知を行う

②制度導入の手順をまとめた「導入に向けポイント」を参考に、さらなる導入促進を図る

③助成金による導入支援、労務管理の専門家による相談支援を実施する

④関係省庁が連携を図りながら、取引環境の改善に向けた取組みを一層推進する

報告書ではこのほか、制度導入までのプロセスを示すとともに、導入に当たって参考となるよう、20の導入企業例を掲載しています。

 

2020年までに導入企業10%へ

政府は、制度の導入の予定も検討もしていない企業が89.1%にのぼり(平成30年就労条件総合調査)、その理由として「当該制度を知らなかったため」が29.9%となっていることから、認知度の向上に向けた取組みを推進し、2018年1月1日現在で1.8%にとどまっている導入企業の割合を、2020年までに10%以上とする目標を掲げています。

 

【厚生労働省「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」報告書(PDF)

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000462016.pdf

 


インターンシップに参加する学生が増加しています!! 

内閣府から、平成30年度卒業・修了予定の大学生および大学院生を対象にした調査「学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査(平成30年度)」の結果が出されました。今回は、その中のインターンシップについて、取り上げます。

 

◆「インターンシップ」とは?

学生が夏休みなどを利用し、企業や官公庁、非営利団体などに行って一定期間就業体験し、実際にどのような仕事をしているのだろう、会社の雰囲気はどんな感じか、といった経験を積むことのできる制度です。

インターンシップについては、参加したことがある者の割合が年々増加している実態が明らかとなっています。下記、調査結果をご紹介します。

 

◆インターンシップ参加経験の有無

2019年度は7割以上がインターンシップに参加したことがあると回答(複数回参加50.7%、1回参加22.5%)しており、2015年度(複数回参加25.5%、1回参加25.6%)以降、増加していることがわかりました。

 

◆インターンシップ参加時期

インターンシップ参加の時期は、大学3年生・大学院1年生の「1月~3月」の参加割合が最も高く、次いで大学3年生・大学院1年生の「7月~9月」、大学3年生・大学院1年生の「10月~12月」の割合が高くなっていることがわかりました。大学1年生、2年生、4年生、大学院2年生の参加率にくらべ、圧倒的に高い状況でした。

インターンシップは1日から数カ月間に及ぶものまで様々で、内容も多様化しているようで、就業体験を伴わないものもあります。

 

◆1日間のインターンシップの参加状況

インターンシップに1回のみ参加したことがある場合で参加日数が「1日」であった割合は約5割に上っています(2015年度以降この回答割合は増加)。インターンシップに複数回参加したことがある場合で1日間のインターンシップに参加したことがある割合は9割以上でした(上記と同様に2015年度以降増加)。

インターンシップへのすべての参加回数のうち、1日間のインターンシップへの参加回数が占める割合を集計すると、約7割が1日間のインターンシップであったこともわかりました。

 

◆1日間のインターンシップの就業体験等との関係性

参加した1日間のインターンシップのなかで、就業体験等を伴っていなかったものの割合を集計すると、約4割が就業体験を伴わないものであったことがわかりました(2017年度と同程度)。

 

 

2月の税務と労務の手続き提出期限

1

○ 贈与税の申告受付開始<3月15日まで>[税務署]

12

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

18

  所得税の確定申告受付開始<3月15日まで>[税務署]

※なお、還付申告については2月15日以前でも受付可能。

28

  じん肺健康管理実施状況報告の提出[労働基準監督署]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

  固定資産税・都市計画税の納付<第4期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合があります。

 



事務所便り1月号です。


 

過去最多を記録した「人手不足倒産」

~帝国データバンク動向調査より~

◆「人手不足倒産」とは

帝国データバンクが実施した、全国約1万社の回答を集計した2018年9月の調査によると、正社員が不足していると回答した企業は全体の51.7%を占め、1年前の同調査(48.2%)に比べ増加しています。帝国データバンクでは、従業員の離職や採用難等により収益が悪化したことなどを要因とする倒産(個人事業主含む、負債1,000万円以上、法的整理)を「人手不足倒産」と定義し、過去5年半で発生した人手不足倒産を集計・分析しています。

今回は、2018年度上半期(2018年4~9月)の結果をもとにまとめます。

 

◆倒産件数・負債総額

2018年度上半期の人手不足倒産件数は76件で、前年同期(54件)より40.7%増えており、2年連続で過去最多を更新しています。一方、負債総額は1104,200万円で、前年同期(1912,900万円)より42.3%減少しています。

過去5年半の累計でみると、倒産件数447件、負債額9469,500万円にのぼります。

 

◆負債規模別

負債規模別の件数をみると、「1億円未満」が45件で前年同期(22件)に比べ2倍に増えていて、5年半累計でも227件(構成比50.8%)と小規模倒産が過半を占めていることがわかります。「1~5億円未満」が上半期27件、5年半累計で179件(構成比40%)と、5億円未満の倒産が全体の90%以上を占めています。

 

◆業種別件数

2018年度上半期で最も件数が多かったのは「サービス業」で26件、次に建設業(19件)、運輸・通信業(17件)と続きます。さらに業種細分類別の過去5年半の累計件数をみると、「道路貨物運送」38件、「老人福祉事業」27件、「木造建築工事」26件、「労働者派遣」21件、「建築工事」19件、「受託開発ソフトウエア」18件、「土木工事」15件となっています。

 

◆都道府県別

都道府県別の5年半累計をみてみると、「東京都」の62件が突出して多く、次に「福岡県」34件、「大阪府」32件、「北海道」と「静岡」が並んで25件、「愛知県」22件となっています。

10月から最低賃金が全国平均で26円引き上げられたり、運送費や原材料価格が高騰していたり、企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、「人手不足倒産」もさらに増加することが懸念されます。

 

 

「チームの雰囲気」が働く人の満足度や

モチベーションにどう影響しているか?

ビジネスマンは、今の職場に満足しているのでしょうか。また、「チームの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているのでしょうか。(株)日本能率協会総合研究所が行ったアンケート調査(第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【理想のチーム編】、調査期間:2018928日~2018109日)からみていきます。

 

◆あなたは現在所属しているチームの雰囲気に満足していますか?

現在の職場のチームの雰囲気に「満足」(とても満足:10.9%、やや満足:43.6%)としている人は半数を超えました。ただ、20代、60代の約6割が満足している一方、50代、非正規職員では、過半数が満足していないという結果です。

満足している理由としては、「困ったときに助け合うから」(39.6%)、「自分なりに創意工夫で仕事を進めることができるから」(27.2%)、「互いに情報を共有したり学びあったりしているから」(22.2%)、「期待されている役割が明確であるから」(18.2%)が挙がっています。一方、満足していない理由としては、「フェアな評価がなされていない」(24.0%)、「困ったときにも互いに助け合うことがない」(21.8%)、「互いに本音を話せない」(21.3%)が挙がっています。

現在のチームに満足している人と満足していない人で比較すると、「職場のチームリーダーは、チームの雰囲気を良くすることができているか」について、満足していると回答する人は「できている」と6割が回答したのに対し、満足していない人は「できていない」との回答が5割を超えました。このように、チームの雰囲気に満足している人は、良好な人間関係を魅力と感じる傾向が強くあるようです。

 

◆上司から言われて嫌だと思う一言は?

「あなたが、上司から言われて嫌だと思う一言は何ですか」という質問について、1位に挙がったのは、「使えないな」(33.8%)。その他、2位に「そんなこともできないのか?」(32.6%)、3位に「余計なことをするな」(23.4%)となりました。次いで、「上が言っているんだから、やれ」(21.5%)、「やる気があるのか?」(16.5%)、「自分で考えろ」(11.5%)、「聞いてないぞ」(10.8%)となっています。

 

◆上司から言われてやる気がでる一言は?

一方、やる気がでる一言として挙がったのは、1位「ありがとう」(35.1%)、2位「よくやった」(23.9%)、3位「頑張ってるね」(19.8%)です。他には、「いいアイデアだ」(17.5%)、「おつかれさま」(17.4%)、「あなたにしかできない」(17.1%)、「期待しているよ」(16.0%)が続きました。上司による感謝とねぎらいの声かけが従業員のモチベーションアップにつながるようです。

【一般社団法人日本能率協会「第9回「ビジネスパーソン1000人調査」【理想のチーム編】」】

https://jma-news.com/wp-content/uploads/2018/11/845fa87cf4eec1440988e2087a54a9e1.pdf

 

 

外国人実習生に関する監督指導と

技能実習制度の見直し

◆外国人実習生に関する監督指導

入国管理法の改正に伴い、外国人技能実習制度等の見直しが行われます。日本の労働人口は、少子化や人口減少により、2030年までに最大で約900万人弱、2060年までには3,000万人弱も減少するといわれており、今回の入管法の見直しは、政府が労働力不足への対応としての在留資格見直しに大きく踏み出すことを意味しています。

「技能実習」について、外国人実習生を受け入れる企業に対して行われた全国の労働局や労働基準監督署による監督指導の状況を、厚生労働省が公表しています。

 

◆監督対象事業場・違反事業場は年々増加

平成29年は、実習実施者(企業)に対して5,966件の監督指導が実施され、4,226件(70.8%)で労働基準関係法令違反が認められました。主な違反としては、

・労働時間(26.2%)・安全基準(19.7%)

・割増賃金の支払(15.8%) ・就業規則(9.2%)

・労働条件の明示(9.1%)

などとなっています。重大・悪質な労働基準関係法令違反により34件が送検されています。技能実習生の増加に伴って、監督・指導にも力が入れられ、その数も増加が予想されます。

 

◆違反の申告・通報もより活発に?

技能実習生から労働基準監督署などに対して労働基準関係法令違反の状況が申告されることもあります。技能実習生同士のつながりにより、賃金や割増賃金の不払いがある等の情報は広まりやすいと思われます。また、こうした申告は、労働基準監督署に対するものだけではなく、出入国管理機関(各地の入国管理局)に対しても行われ、それが労働局・監督署へ通報されて監督等につながるケースもあります。技能実習制度の違反等に対するペナルティとして、実習生の受入れの停止等が行われますので、企業活動に大きく影響します。

 

◆改正に伴う情報収集を

新しい制度が始まれば、それに伴って企業への監督等も厳しくなることが予想されます。また、労基法・安衛法関連だけでなく、技能実習制度自体に定められている報告や手続きについても、新制度の下で見直しが行われると思われます。外国人雇用・技能実習生の受入れなどを検討する企業は情報に注意しておきましょう。

【厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成29年)」】

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/besshi.pdf

 

 

1月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

 

10

  源泉徴収税額(※)・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

※ただし、6ヵ月ごとの納付の特例を受けている場合には、307月から12月までの

 徴収分を120日までに納付

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>[労働基準監督署]

  

31

  法定調書<源泉徴収票・報酬等支払調書・同合計表>の提出[税務署]

  給与支払報告書の提出<1月1日現在のもの>[市区町村]

  固定資産税の償却資産に関する申告[市区町村]

  個人の道府県民税・市町村民税の納付<第4期分>[郵便局または銀行]

  労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、10月~12月分>[労働基準監督署]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険料納付<延納第3期分>

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]

  固定資産税に係る住宅用地の申告[市区町村]

 

本年最初の給料の支払を受ける日の前日まで

  給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出[給与の支払者(所轄税務署)]

  本年分所得税源泉徴収簿の書換え[給与の支払者]

 


事務所便り12月号です!

留学生の日本企業への就職事情

(平成29年度法務省発表資料より)

◆外国人労働者の市場

現在、日本国内で働く外国人は128万人にのぼり、労働力の50人に一人が外国人であるといわれています。今回は、在留資格のひとつ「留学生」について、平成29年度における留学生の日本企業への就職事情が法務省の入管局より発表されましたのでまとめます。

 

◆留学生の日本企業への就職実態

「留学」等の在留資格から、日本国内企業への就職を目的とした在留資格の変更は、22,419人が許可されています(前年比15.4%増)。変更後の資格は「技術・人文知識・国際業務」が全体の91.4%を占めています。

 主な国籍・地域としては、約半数が中国で10,326人(46.1%)、次いでベトナム、ネパール、韓国、台湾となっており、アジア諸国だけで全体の95.5%を占めています。

 就職先の業種としては、非製造業が81.1%、製造業が19%となっています。非製造業では、商業・貿易(9.5%)およびコンピュータ関連サービス(7.7)が上位を占めており、製造業では一般機械および電気(共に3.1%)が上位を占めています。

 職務の内容としては、翻訳・通訳が最も多く23.8%で、販売・営業(14.1%)、海外業務(9.5%)、技術開発・情報処理(6.3%)と続きます。

 月額報酬については、2025万円未満が47.3%と最も多く、次いで20万円未満(34.6%)、2530万円未満(10.3%)の順となっています。

 就職先の企業等の資本金については、最も多いのが資本金500万円超1,000万円以下の企業等で4,282人(19.1%)、そして500万以下の企業への就職が4,077人(18.2%)で、全体の半数以上が1億円以下の企業へ就職しています。

 就職先の企業等の従業員数については、従業員数50人未満の企業等に就職した者が8,275人(36.9%)と最も多く、これを含め100人未満の企業等への就職数が10,356人と全体の約半数を占めています。

 留学生の最終学歴については、大学卒業者が10,196人(45.5%)と半数近く、次いで大学院卒業者が5,477人(24.4%)の順となっており、両者で全体の約70%を占めています。他に多かったのは、専修学校卒業者で4,869人(21.7%)となっています。

 就職先企業等の所在地については、東京都9,915人(44.2%)と圧倒的に多く、大阪府2,228人(9.9%)、神奈川県1,278人(5.7%)と続きます。

 

◆総 論

留学生が日本企業等へ就職する割合は年々増加し、5年前と比較すると約2倍以上に増えています。そして、出入国管理法の改正により、来年4月から新しい在留資格が生まれ、今後ますます外国人の雇用市場は活発になることが予想されます。外国人労働者の受け入れを検討している企業は、制度改正の動向に注目することはもちろん、受け入れ後の管理体制の準備にも注意が必要です。

【法務省「平成29年における留学生の日本企業等への就職状況について」】

http://www.moj.go.jp/content/001271107.pdf

 


「つながらない権利」って?

勤務時間外のメール対応を考えよう

 

◆「つながらない権利」とは

「つながらない権利」をご存知でしょうか。労働者が、勤務時間外や休暇中に、仕事上のメール等への対応を拒否できる権利のことです。アメリカ・ニューヨーク市で現在、「勤務時間外のメール等への返信を労働者に強いることを禁じる」条例案が審議されています(日本経済新聞1029日夕刊)。

 

◆先行する各国、各社の例

つながらない権利の法制化で先行したのがフランスです。2017年、従業員50人以上の企業を対象に、時間外のメールの扱いを労使で協議するよう義務づけました。またイタリアでも、2017年に成立したいわゆるスマートワーカー(働く時間・場所を特定しない労働者)を保護する法律において、つながらない権利を雇用契約に明記するよう義務づけています。

また、企業の独自の施策として、ジョンソン・エンド・ジョンソン(午後10時以降のメール禁止)や、ダイムラー(長期休暇中の社内メールを受信拒否・自動削除)の例が知られています。日本企業でも、三菱ふそうトラック・バス(ダイムラーの子会社)が、同様の措置をとっています。

 

◆「つながらない権利」で労使トラブル予防

日本では現状、法令などで「つながらない権利」が定義されているわけではありません。

とはいえ、使用者側が、明確な社内ルールや指示に基づき「つながる」ことを求めた場合や、過剰に「つながっている」状態を把握しながらも黙認していた場合などは、労働から離れることが保障されていない待機等の時間(いわゆる手待時間)として、労働時間とみなされるおそれがあります。後々、時間外労働分の割増賃金を請求されるリスクや、労災発生時に認定基準における労働時間としてカウントされるリスク等々がありますので、ある程度「つながらない権利」を意識することは、労使トラブル予防の観点から有効です。

 

◆4割以上の労働者が、勤務時間外も「つながっている」

実態として、勤務時間外や休暇中にメール・電話・LINE等で「つながる」ことは珍しくありません。調査によれば、43.9%の労働者が、「勤務時間外に電話・メール等で仕事関係の連絡をとる」ことが「よくある」「ときどきある」とのことです(労働政策研究・研修機構「裁量労働制等の労働時間制度に関する時間調査」(厚労省抽出分))。

現代は、テレワークをはじめとする多様な働き方の浸透や、ICT技術の普及により、昔より「つながる」機会が増えている時代といえます。「つながる」ことが良い結果を生む場合もあるでしょう。自社の実態を踏まえた「つながり方」を模索するべきではないでしょうか。


12月の税務と労務の手続き提出期限 


10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

  特例による住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

31

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

  固定資産税・都市計画税の納付<第3期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある。

本年最後の給料の支払を受ける日の前日まで

  年末調整による源泉徴収所得税の不足額徴収繰延承認申請書の提出

[給与の支払者(所轄税務署)]

  給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の配偶者控除等申告書、

住宅借入金等特別控除申告書の提出[給与の支払者(所轄税務署)].

 







事務所便り11月号です!

人手不足で増えている「自己都合退職トラブル」


◆自己都合退職トラブルとは

退職の意思を会社に伝えようとする従業員に対し、会社が退職を認めないという「自己都合退職トラブル」が増加しています。「上司が面談に応じない」「退職届を受理しない」「離職票さえ渡さない」「有給休暇を取得させない」「辞めた場合は損害賠償請求すると脅迫する」などがその代表例です。

 

◆解雇トラブルの相談件数と逆転

昨年度、都道府県労働局および労働基準監督署に寄せられた民事上の個別労働紛争相談のうち、「自己都合退職」は2番目に多い38,954件でした。この件数は直近10年間で増え続けており、平成27年度を境に「解雇」を上回っています(厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」)。

かつての不況下においては解雇トラブルがよくみられましたが、人手不足のいまは自己都合退職トラブルが多い時代です。この傾向はしばらく続くでしょう。

 

◆民法上は2週間で退職できる

労働者は法律上、期間の定めのない雇用の場合、いつでも雇用の解約の申入れをすることができます。また、会社の承認がなくても、原則として解約の申入れの日から2週間を経過したとき、雇用契約は終了します(民法627条1項)。

就業規則の「退職」の項目においては、業務の引継ぎ等の必要性から、「退職希望日の少なくとも1カ月前に退職届を提出」等と規定することも多いですが、この規定のみを理由に退職を認めないということはできません。

 

◆従業員の退職でもめないために

一度退職を決意しその意思を表明している従業員に対し、慰留・引き留めを行ったところでさほど効果はないものですし、度を過ぎれば前述のような法的案件にもなりかねません。くれぐれも感情的な対応はせず、淡々と引継ぎや退職手続をさせましょう。

最近では、「退職代行ビジネス」とわれる、民間企業が本人に代わって退職手続を行うサービスを利用して、会社との自己都合退職トラブルを防ぐ退職者も増えています。この場合、本人と面と向かうことなく、会話もないまま退職が完了してしまいます。

従業員が自己都合退職に至る動機はさまざまですが、そもそも「辞めたい」と思わせない会社づくりも大切です。

 

 

従業員の通勤事故リスク 対策を取っていますか?

 

◆会社が通勤時の事故発生をめぐり責任追及されるケースが増加

10月1日、事故死したトラック運転手の遺族が、原因は過重労働だとして会社に約1億円の損害賠償を求める訴えを起こしました。

同様に、通勤途中で発生した事故をめぐり会社が責任追及されるケースが増えています。

◆上司も書類送検されたケース

201710月、業務で公用ワゴン車を運転中に兵庫県川西市選挙管理委員会の職員が5人を死傷させる事故が発生しました。職員は、当時、参議院選挙対応で約1カ月間休みがなく、200時間超の時間外労働を行っていました。2018年4月23日、運転していた職員は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で書類送検され、また過労状態を知りながら運転を命じたとして、上司も道路交通法違反(過労運転下命)で書類送検されています。

 

◆裁判で和解が成立したケース

2018年2月8日、横浜地方裁判所川崎支部において、ある事件の和解が成立しました。この事件は、バイクで帰宅途中に居眠り運転で事故死した従業員の遺族が、原因は過重労働だとして会社に損害賠償を求めたもので、会社が7,590万円支払うこととなりました。従業員は約22時間の徹夜勤務明けで、事故前1カ月の時間外労働は約90時間でした。

 

◆裁判官は通勤中の会社の安全配慮義務に言及

上記事件で、裁判所は、通勤時にも会社は社員が過労による事故を起こさないようにする安全配慮義務があると認定し、公共交通機関の利用を指示するなどして事故を回避すべきであったと指摘しています。

和解の内容には、再発防止策として勤務間インターバル制度の導入、男女別仮眠室の設置、深夜タクシーチケットの交付などの実施も盛り込まれました。これまで通勤中の事故で会社の責任を認めたものはほとんどなかったため、会社の安全配慮義務が従業員の通勤についても認められることを示した画期的な判断とされています

 

◆「労働時間把握」だけではリスクを回避できない

働き方改革法では、労働時間把握が使用者の義務として課されることとなりました。

しかし、会社に求められるのは、省令に定める方法により労働時間を記録等するだけでなく、過労状態で従業員が事故を起こさないような具体的対策を講じることであると認識する必要があるでしょう。

 

 11月の税務と労務の手続き提出期限

【提出先・納付先】

12

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に

  一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

 

15

  所得税の予定納税額の減額承認申請書(1031日の現況)の提出[税務署]

 

30

  個人事業税の納付<第2期分>[郵便局または銀行],

  所得税の予定納税額の納付<第2期分>[郵便局または銀行]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]








事務所便り10月号です!!

管理者は「働き方改革」実現に向けてどのようなスキル・能力を高めたいと思っているのか?

 

管理者の「働き方改革」に対する意識調査とは

これは、一般社団法人日本能率協会が2017年5月~2018年7月に行った管理者向けセミナー参加者を対象に、管理者としての「働き方改革」への意識についてアンケート調査を実施したものです。

[回答者] 143

[属 性] ―性別 男性130人(90.9%)、女性3人(9.1%)

     ―年齢 29歳以下:2人(1.4%)、3035歳:10人(7.0%)、

3640歳:31人(21.7%)、4145歳:46人(32.2%)、

4650歳:31人(21.7%)、51歳以上:21人(1.4%)

 

◆調査結果の概要!

1 自社の働き方改革の取組み

各社の取組みについて、【進んでいる】【進んでいない】【今後の課題】の3つで評価されています。働き方改革の取組みで【進んでいる】として上位にあがったのは、「有給休暇の取得奨励」(62.2%)、「自身の有給休暇の取りやすさ」(49%)、「部下との活発なコミュニケーション」(47.6%)、「部署内のチームワークの活性化」(46.2%)、「上司との活発なコミュニケーション」(44.8%)と、有休およびコミュニケーションに関することでした。

一方で、【進んでいない】として上位にあげられたのは、「会議・打合せ時間の短縮」(50.3%)、「福利厚生の充実化」(49.7%)、「研究・開発・発生・営業への積極的なリソースの投入」(46.9%)、「業務へのIT技術(RPAやAIなど)の活用」(42.0%)、「構造改革への取組み」(41.3%)と、業務改善や技術投資・施策に関することでした。

2 身に付けたいスキル・能力について

働き方改革の実現のためにどのようなマネジメントに関するスキル、能力を高めたいかという質問について、【人の領域】と【業務の領域】についての回答です。

【人の領域】については、「コミュニケーション力」が57件と圧倒的に多く、「人材育成」「傾聴力」がともに6件でした。また、【業務の領域】については、「業務改善・効率化」(22件)が最も多く、次いで「マネジメント力」(15件)、「計画・スケジューリング」(8件)、「業務遂行力」(8件)でした。

3 働き方改革で実現したいことについて

多様な働き方をする従業員をマネジメントする管理職として、どのような働き方改革を実現したいかという質問に対しては、「業務改善・生産性向上に関すること」(11件)、「休暇に関すること」(10件)、「残業削減に関すること」(7件)という回答が多くありました。

 

 

「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正

 

◆平成27年改正による「賞与に係る報酬」

厚生労働省の通知「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の中で、報酬と賞与の取扱いが定められています。大まかに言って、年間を通じて支払い回数が3回までのものは「賞与」、4回以上のものは「報酬」とされています。それぞれ「標準賞与額」、「標準報酬月額」として保険料算定の基礎にされます。

しかし、事業者の中には保険料を安くするために、特殊な賞与の支払い方をする例がありました。例えば、年間100万円の賞与を⒉回にわけて支払うと標準賞与額100万円として保険料が算定されますが、100万円を12分割し、6月と12月だけ多く支払い、その他の月は500円支払うとします。そうすると、その賞与は「報酬」になり、かつ「随時改訂」の規定により算定され、年間の保険料は標準賞与額によるものより安くなります。「随時改訂」が3カ月平均で求めることを逆手に取っているわけです。

これを防ぐため、平成27年改正により、1年間を通じ4回以上支払われる賞与は「通常の報酬」ではなく「賞与に係る報酬」として、1年間の支払い合計額の12分の1を報酬額とすることとされました。

 

◆今般の改正による「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」、「賞与」の明確化

平成30年7月30日に出された通知によると、上記の通知に下記の2点が加わりました。

① 通知にいう「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるものごとに判別するものであること。

② 通知にいう「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。

厚生労働省の示すQ&Aによると、本通知の趣旨は、従前の通知に示す取扱いをより明確化し徹底を図ることです。具体的には、

①については、諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること

②については、諸手当等を新設した場合のような支給実績のないときに、翌7月1日までの間は「賞与」として取り扱うものであることとされています。

本通知は、周知期間を確保するため、発出から半年の周知期間を設けていますが、本通知の適用日以降に受け付けた届書から本通知による取扱いを適用することとされており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要しないとされています。

 

 

従業員が特に望む福利厚生とは?

~企業における福利厚生施策の実態に関する調査から

 

労働政策研究・研修機構(JILPT)から、「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」の結果が公表されています。会社の福利厚生施策に対する従業員の満足度や、今後会社に望む福利厚生施策を中心に見てみます。

 

福利厚生制度・施策の目的

福利厚生制度・施策の目的としては、「従業員の仕事に対する意欲の向上」(60.1%)が最も高く、「従業員の定着」(58.8%)、「人材の確保」(52.6%)と続いています(複数回答)。

 

会社が今後充実させたいと考える施策

施策のある・なしに関わらず、今後「充実させたい(施策の新設・拡充含む)」施策として、次のものが上がっています。

「メンタルヘルス相談」(12.4%)、「治療と仕事の両立支援策」(11.5%)、「人間ドッグ受診の補助」(10.7%)、「社内での自己啓発プログラム」(10.7%)、「ノー残業デー等の設置」(10.4%)、「社員旅行の実施・補助」(10.3%)、「社外の自己啓発サービスの提供・経費補助」(10.1%)など。

 

会社の福利厚生制度への満足度

従業員が会社の福利厚生制度に満足しているかどうかについては、「どちらともいえない」(49.4%)、「満足+やや満足」(24.4%)、「やや不満足+不満足」(23.9%)と、「どちらともいえない」が半数近くを占めました。男女別では大きな差は見られませんでした。就業形態別では、「パート・アルバイト」および「契約社員」で「どちらともいえない」の割合が高く、「嘱託」で「不満足」の割合が高くなっています。

 

従業員にとって必要性が高いと思う制度・施策

従業員が、勤務先での制度・施策のある・なしに関わらず、自分にとって「特に必要性が高いと思うもの」(複数回答)については、次の制度・施策が挙がりました

「人間ドック受診の補助」(21.8%)、「慶弔休暇制度」(20.0%)、「家賃補助や住宅手当の支給」(18.7%)、「病気休暇制度(有給以外)」(18.5%)、「病気休職制度」(18.5%)、「リフレッシュ休暇制度」(16.1%)、「有給休暇の日数の上乗せ(GW、夏期特別休暇など)」(15.2%)など。主に健康管理や休暇制度に関するものが多くありました。

その他、10%以上の回答があった項目は、「治療と仕事の両立支援策」(14.8%)、「法定を上回る育児休業・短時間制度」(13%)、など「両立支援」「労働時間」に関連するものが多く挙がっています。

 

 

 

10月の税務と労務の手続提出期限!

[提出先・納付先]

 

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

 

31

  個人の道府県民税・市町村民税の納付<第3期分>[郵便局または銀行]

  労働者死傷病報告の提出<休業4日未満、7月~9月分>[労働基準監督署]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険料の納付<延納第2期分>[郵便局または銀行]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)[雇入れ・離職の翌月末日}

[公共職業安定所]。



事務所便り9月号です!

最低賃金が3年連続で3%増加へ !

◆政策通りの引上げに

厚生労働省の中央最低賃金審議会は、今年(平成30年)度の地域別最低賃金額改定の目安を公表しました。

今年度の引上げ額の全国加重平均は26円(昨年度25円)、改定額の全国加重平均額は目安通りに上がれば874円(同848円)となります。また、引上げ率は3.1%で、3年連続3%以上の引上げを確保し、政府が昨年策定した「働き方改革実行計画」に沿う形になります。

 

◆地域別最低賃金の目安額

各都道府県に適用される目安のランクは以下の通りです(都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を示しています)。

・Aランク(+27円)……埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知   大阪

・Bランク(+26円)……茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島

・Cランク(+25円)……北

海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡

・Dランク(+23円)……青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

現在、各地方最低賃金審議会で上記の目安を参考に調査審議が行われており、その答申を経て、各都道府県労働局長が地域別最低賃金を決定し、10月から適用になります(発効日は都道府県によって異なります)。

 

◆地域間格差の拡大も……

政府は、最低賃金を毎年3%程度引き上げ、全国加重平均額を1,000円にする目標を掲げています。最低賃金が高い東京都(985円)と神奈川県(983円)は、1,000円に近づいている一方、19県では700円台であることから、地域間格差の拡大も指摘されています。

【厚生労働省資料】

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172722_00001.html




労働時間の把握、来春より管理職にも義務

 

◆労働時間の記録と保存

来年4月から、いわゆる「管理職」の労働時間把握と、その記録の保存が企業に義務づけられると報道されました(日経新聞731日付)。現状でも、企業はタイムカードやパソコンなど「客観的な方法」により労働者の労働時間を記録し、3年間分保存しなければなりません(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」)。この範囲に、新たに管理職も含まれるとのことです(取締役ら経営陣は対象外)。

 

◆労基法の管理監督者!

労働基準法の「管理監督者」は、労働時間や休日の規定の対象外とされています(ただし深夜割増賃金の支給や年次有給休暇の付与は必要)。管理監督者は、経営に参画する立場として、自らの労働時間に一定の裁量があるためです。そのため、管理監督者の労働時間の把握や保存の義務はありませ

し、それゆえ現状で管理監督者の労働時間管理はなおざりという企業もあるでしょう。

 

◆改正安衛法の「面接指導」

一方、今回の労働時間把握義務は、労働安全衛生法(安衛法)上の「面接指導」を目的とする趣旨です。安衛法は、管理職を含むすべての労働者の健康管理等を目的としています。

該当条文は次の通りです。「事業者は、(略)面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(略)の労働時間の状況を把握しなければならない。」(改正第66条の8の3)。

 

◆管理職の過重労働にも注意

条文等で明らかでない詳細については、今後の政省令等を待つことになりますが、さしあたり企業の実務上、現在一般社員が行っている出退勤記録と同じことを、管理職にも徹底させる必要がありそうです。

昨年は、大手電力会社の課長職の過労自殺や、ドーナツのフランチャイズ店の店長(「名ばかり管理職」と批判されました)の過労自殺など、管理職の過重労働に関す

る報道も少なからずありました。

一般従業員だけでなく、管理職の過重労働にも注意していきましょう。

 

 

9月の税務と労務の手続期限[提出先・納付先]

 

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

 

101

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]。










事務所便り8月号です!

健康経営の一環として

いま話題の福利厚生(飲食編)!!

 

◆健康経営とは

従業員の健康管理を経営上の課題の一つとしてとらえ、戦略的、計画的に取り組むのが、健康経営です。適正な労働時間管理や適度な運動、食事指導等の取組みがなされる中、最近注目を集めているのが、福利厚生で従業員の食を支えるサービスです。

 

◆サービス事例

① 食材の宅配

有機・低農薬と無添加食品のほか、加工食品や調味料等、ライフスタイルに合わせた商品を自宅に届けてくれるサービス。旬の野菜の積み合わせで、野菜中心の健康的な食生活を送ることができる。

【サービス例:らでぃっしゅぼーやの個別宅配サービス 等】

② 社 食

本格的な社食は導入できない企業向けに、1500円で温かく健康的な食事をブュッフェ形式で提供してくれるサービスや、1100円からいつでも御惣菜を選んで買えるサービス、新鮮な野菜・果物を食事と組合せて提供するサービス。

【サービス例:みんなの食堂、オフィスおかん、OFFICE DE YASAI 等】

③ ドリンク

自動販売機よりも品数が多く、電機代も1/10。野菜中心のドリンクや健康情報・セミナーも提供してくれるサービスや、本格的なコーヒーマシンと自社焙煎コーヒー豆を使用した高品質なサービスを提供してくれる。

【サービス例:オフィスオアシス、トータルオフィスサービス、KIRIN naturals 等】

④ その他

省スペースで省エネ、電子決済が可能で、会社の中に小さなコンビニができたかのようなサービス。アプリをダウンロードすれば、20分以内にお弁当を届けてくれるシステムもある。

【サービス例:mini CAFÉ、アプリbeno.jp 等】

 

参入する企業も増えていますが、これらを利用する企業も増えているようです。自社にあったサービスを検討してみはいかがでしょうか。

国民年金納付率66.3%に

 

◆国民年金被保険者の動向

国民年金保険料を納める必要があるのは、自営業者、学生等の第1号被保険者ですが、その動向を見ると、厚生年金保険(民間会社の)被保険者数の増加に伴い、平成29年度末で1,505万人と、前年度末と比べ70万人減少しています。この5年間で見ると、約360万人の減少です。これは、日本年金機構が厚生年金への加入を企業に促していることや、厚生年金の適用対象をパートら短時間労働者にも広げたことで、厚生年金に移る人が増加したことが原因です。

第1号被保険者の資格を取得した人の内訳を見ると、最も多いのが第2号被保険者からの移行者、次いで第3号被保険者からの移行者、20歳到達者と続きます。

なお、平成29年度末の第1号被保険者の年齢構成をみると、2024 歳の全体に占める割合が22.1%と最も大きく、次に5559 歳が13.1%となっています。

 

◆保険料納付率は66.3

平成29年度中に納付された現年度分保険料についてみると、納付率は66.3%となり、前年度の65.0%から1.3ポイントの上昇となりました。過去最低の58.6%だった平成23年度以降、6年連続の上昇となりましたが、依然として高いとはいえない水準です。

保険料納付率とは、自営業者など国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)が保険料を納めるべき月数に対し、実際に支払われた月数の割合です。ただし、低所得者や学生が支払いを免除・猶予された分は除いています。

納付率はすべての年齢階級で前年度を上回りました。若い世代ほど低い傾向は続いており、年齢別では2529歳が54.87%で最低、5559歳が76.28%で最高でした。

また、納付期限から2年以内に後払いされた分も含めた平成27年度の最終納付率は73.1%。統計がある平成14年度からの間で最高でした。

 

◆保険料納付率を上昇させるための取組み

政府は、保険料を納めやすい環境の整備に努めてきました。平成17年度以降の具体的な取組みとしては、口座振替割引制度や任意加入者の口座振替の原則化、口座振替による2年全納制度の導入、クレジットカード納付の導入、コンビニ納付の導入、インターネット納付の導入、現金およびクレジットカードでの2年前納制度の導入があります。

それら納付方法の多様化に加え、未納者からの徴収の強化も納付率拡大の一因です。日本年金機構は平成29年度、強制徴収の対象者をそれまでの「年間所得350万円以上」から「300万円以上」に拡大しました。督促状を延べ6万6,270人に送り、それでも納めない1万4,344人については銀行口座などの財産を差し押さえるなど、前年度よりも強制徴収が増えています。

 

 

個別労働紛争の“種”は「いじめ・嫌がらせ」がトップ

~「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より

 

◆個別労働紛争解決制度とは

会社と労働者との間の労働条件や職場環境をめぐるトラブルを防止・解決する制度のひとつとして、「個別労働紛争解決制度」があります。この制度には3つの方法(①総合労働相談、②あっせん、③助言・指導)があります。

おおまかに言えば、①は労働局、労基署、街角に設置される総合労働相談コーナーで専門の相談員が相談を受け付けるもの、②は紛争調整委員会(労働局)のあっせん委員が間に入り解決を図るもの、③は労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向性を示すものです。

 

最も多い内容は「いじめ・嫌がらせ」

このほど、厚生労働省から「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公表されました。その内容は、①②③のすべてで、職場の「いじめ・嫌がらせ」に関するものがトップとなっています。「いじめ・嫌がらせ」は、①総合労働相談では、6年連続でのトップとなっています。また、総合労働相談の件数は10年連続で100万件を突破しています。

なお、総合労働相談に持ち込まれた相談のうち、労働基準法等の違反の疑いのあるものが19万件ほどありましたが、これらは労働基準監督署等に取り次がれ、行政指導等が検討されることになりますので、“相談”という文字から受ける軽いイメージとは違った一面もあります。

 

◆「解雇」は半減、「雇止め」は微増

②あっせん、③助言・指導のいずれにおいても、「解雇」に関する内容は平成20年度とおよそ半数程度に減少しています。昨今の雇用状況が改善していることも影響しているのでしょうか。一方、「雇止め」は微増しており、今後注意が必要と思われます。

 

労使間のトラブルでは、セクハラ・パワハラ・モラハラ…等のハラスメントがキーワードとなっています。まだ、問題が表面化していなくても、ある日突然……となる可能性はあります。地震への備えと同じですが、事が起こる前の対策と起きてからの対応如何で、被るダメージ(企業イメージの低下、職場の士気低下etc)に大きな差が生まれます。

 

【厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」】

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000213218.pdf

 

 

8月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

 

10

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

[労働基準監督署]

 

31

  個人事業税の納付<第1期分>[郵便局または銀行]

  個人の道府県民税・市町村民税の納付<第2期分>[郵便局または銀行]

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出

[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>

[公共職業安定所]




事務所便り7月号です!

賃金引上げに向けた生産性向上事例集」とは?


◆2冊の事例集!


厚生労働省より、中小企業・小規模事業者の賃金引上げを目的とする生産性向上の取組みをまとめた①『~生活衛生関係営業~ 生産性・収益力向上の取組事例集~賃金引上げのヒント~』と、②『生産性向上の事例集~最低賃金の引上げに向けて~』の2冊の事例集が公表されました。①は、飲食業、宿泊業など「生活衛生関係営業」の企業に特化した、初めての事例集となります。


◆各事例集の内容

①『生活衛生関係営業 生産性・収益力向上の取組事例集~賃金引上げのヒント~』

この冊子では、平成28年7月に施行された中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受け、収益力の向上に取り組んでいる企業の業務の効率化や働き方の見直しなどの事例が紹介されています。

特に、生活衛生業のうち、飲食業、宿泊業、洗濯業、理美容業の企業が取り上げられ、10事例の取組みポイント等がわかりやすくまとめられています。

②『生産性向上の事例集~最低賃金の引上げに向けて~』

この冊子では、個々の事業場を対象とした業務改善助成金や、業界団体を対象とした業種別中小企業団体助成金の活用事例をもとに、業務の効率化や働き方の見直しなどを実施して生産性向上を実現し、賃金の引上げを行った事例が紹介されています。

特に、取組みの中心となった人や、取組後の変化、助成金活用のポイント等、9事例がわかりやすくまとめられています。


◆事例の一例

①の「スマートフォンで確認できる動画マニュアル作成と経営分析ソフト導入による店舗毎の対策検討事例」

多店舗展開している飲食店の新規出店による規模拡大に向けた人材の確保・育成、および既存店の経営改善が目的。

 ⇒実施内容①:スマートフォンで確認できる動画の作業マニュアルの作成

 ⇒成  果①:作業工程が標準化し、全体の業務効率が上がり、営業利益率が0.5%程度改善したほか、新規アルバイトの育成に係る時間が5日も短縮できた。

 ⇒実施内容②:経営分析ソフトの導入

 ⇒成  果②:各店舗の責任者によりバイトシフトの効率化と店舗ごとの営業戦略といった対策が可能となり、営業利益が1%程度増加した。

その他、生産性の向上、強いては賃金引上げにつなげるヒントが見つかることでしょう。


【厚生労働省「賃金引上げに向けた生産性向上の事例集を作成しました」】

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000206098.html

 

新たな在留資格で外国人の長期就労が可能に


◆「骨太の方針」の原案

政府は、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案をまとめました。人手不足対策として、外国人材の受け入れを拡大するため、新たな在留資格を創設することがポイントです。政府は現在、単純労働の分野で外国人の就労を原則として禁止していますが、医師や弁護士など高度な専門性を持った人材は積極的に受け入れ、家族の帯同も認めています。今回の原案による新たな在留資格の対象は、人手の確保が難しく、業種の存続・発展のために外国人材の受け入れが必要と認められる業種(農業、介護、建設、宿泊、造船)の5分野を想定しています。


◆最長で10年の就労が可能

日本では約128万人の外国人が働いています。その内訳は、人数の多い順に、①永住者や日本人と結婚した人、②留学生などのアルバイト、③技能実習生、④専門性が高い医師や研究者など――です。技能実習生は約258,000人で、5年前のおよそ2倍に膨らんでいます。今回の原案では、技能実習生に対する5年の就労延長を想定した新資格の創設を明記しました。実現すれば、最長で10年の就労が可能になります。政府は秋の臨時国会にも出入国管理法改正案を提出し、来年4月からの導入を目指します。さらに、骨太の方針では、新資格を得た人が日本語や専門分野の試験に合格すれば、在留期限の上限を撤廃し、家族の帯同も認める考えも掲げました。


◆技能実習制度が骨抜きになるとの懸念も

1993年に始まった技能実習生制度は、本来、途上国への技術移転が目的でした。日本での就労期間が延びるほど、身に付けた技術を母国で活かす機会は遠のきます。今回の案は、技能実習制度を骨抜きにする可能性も指摘され、事実上の移民政策につながるとの懸念の声も上がっています。


◆法務省「センター」で在留情報を一元管理

政府は、法務省に「在留管理インテリジェンス・センター」(仮称)を設け、雇用や婚姻などの情報を一元管理させることで、不法就労を防ぐとしています。法務省は、新設する在留管理インテリジェンス・センターが外国人労働者の離職や転職などの状況を把握しやすいよう、雇用保険を所管する厚生労働省との情報共有を進める方針です。日本人と結婚した外国人が離婚した場合などに自治体と提携して情報を得るための法整備を進めます。また、外国人留学生の勤務先や勤務時間の管理を強化し、法定時間(1週間あたり28時間以内)を超えれば、在留許可を取り消す方針です。

 

「刑務所出所者等就労支援事業」と

協力雇用主に対する支援制度

厚生労働省から、刑務所出所者等に職業相談や職業紹介等を行う「刑務所出所者等就労支援事業」についての報告書(「再出発で、社会とつながる-「刑務所出所者等就労支援事業」におけるハローワークと事業所の取組-」515日)が公表されました。

 無職の出所者の再犯率が高いことから、国では、出所者の就労を通じた生活の基盤づくりを進めており、報告書には、当該事業を実施するハローワークおよび雇用に協力する事業所の就労支援の工夫や雇用事例などが盛り込まれています。以下、この報告書について見てみます。


◆刑務所出所者の就労件数

平成28年度の就労件数は2,790件(平成27年度は2,675件、平成26年度は2,530件)となっています。

◆ハローワークの主な取組み

・刑務所内の職業相談・職業紹介……出所直後から就労と住居を確保できる寮のある事業所を紹介、事業所との面接時にスーツを貸与 など

・出所後の就労支援……保護司、保護観察官等が協力して保護観察対象者を支援、公共職業訓練や農林漁業就職支援を活用した就職

・就職面接会の実施、内定通知書の発出で出所へのモチベーションを向上


◆事業所における雇用の取組み等

・採用の方針……「更生への思い」や「戦力になる人材」であることを重視

・採用にあたり利用した制度……「出所者等就労奨励金」、「身元保証制度」などの各制度を利用し負担を軽減、トライアル雇用(試行的な雇用)

・採用後の対応……所持金が少ない出所直後は給料を日払いで対応、従業員間の金銭貸与等を禁止し、トラブルを防止、自然なコミュニケーションを通じた関係づくり

・雇用後の感想……資質や能力を持つ対象者が多く、会社が求める人材を採用することができた、仕事への責任感があり信頼して仕事を任せられる、今後も事業を利用したい


協力雇用主に対する支援制度

・協力雇用主に対する刑務所出所者等就労奨励金(法務省)

 保護観察の対象となった人などを雇用し、就労継続に必要な生活指導や助言などを行う協力雇用主に対し、年間最大72万円の奨励金が支払われます。

その他、公共工事等の競争入札における優遇制度として、地方自治体の間で公共工事等の競争入札における協力雇用主に対する優遇制度があります。

【再出発で、社会とつながる-「刑務所出所者等就労支援事業」におけるハローワークと事業所の取組】

http://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-20180515/dl/after-service-20180515_houkoku.pdf

 

7月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

10

  健保・厚年の報酬月額算定基礎届の提出期限[年金事務所または健保組合]<7月1日現在>

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  特例による源泉徴収税額の納付<1月~6月分>[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出[公共職業安定所]<前月以降に採用した労働者がいる場合>

  労働保険一括有期事業開始届の提出[労働基準監督署]<前月以降に一括有期事業を開始している場合>

  労働保険の今年度の概算保険料の申告と昨年度分の確定保険料の申告書の提出期限<年度更新>[労働基準監督署]

  労働保険料の納付<延納第1期分>[郵便局または銀行]

17

  所得税予定納税額の減額承認申請<6月30日の現況>の提出[税務署]

  障害者・高齢者雇用状況報告書の提出[公共職業安定所]

31

  所得税予定納税額の納付<第1期分>[郵便局または銀行]

  労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所] 

  労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

  外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

  固定資産税・都市計画税の納付<第2期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある。